ウィーク・トライブ
生命の灯
その時、赤い血が辺りに散った。
そのまま、大勢で一人を押さえつけ、身動きが出来ない様に縛る。
全くの躊躇いも無く、間を空けずに針を突き刺す。
そのままコードに繋がられた。
ゴポゴポと音を立て、不気味に光る蛍光灯に照らせている。
横には・・・・同じような人物が数名いた。
『何をしているんだろう』
意識が薄れながら、そう心の中で呟いた。
・・・そして気を失った。
時間がどれ位経ったのかも忘れ、目を覚ます。
一瞬悪夢だったと願った。だが願いは叶わなかった。
気を失う寸前の光景。そしてまだ眼中に収めていなかった光景。
自分を押さえつけたのは、白衣を来た者達。それに今囲まれている。
しかし痛みで声も出なかった。
自分の体の何処かから血が噴き出しているらしく、自分の手は真っ赤だ。
・・・カービィ族だから、こんな目に遭っているのだろうか。
コードへと連動する、全身に刺されている針で、体の全ての箇所が痛む。
『痛い。苦しい。辛い。悲しい。』
もう何もかも分からない。自分が今、どうしているのかも。どうせなら死にたいと思った。
「・・・・・出来た・・・!!完成だ・・・・・!!!」
自分を囲む人物の一人が、万遍の笑みを浮かべる。
そして他の者達と顔を見合わせた。
・・・・・?
急に、今までの痛みが消えた。それ所が、気持ちが良い。と言う感じだった。
体が動かせる。・・・・思ったまま体を動かそうとすると、・・・・動いた。
自分を繋いでいた針は、ブチブチ、と言う音が聞こえると共に切れる。
そして周りで不適な笑みを浮かべていた者達は、あまりにも計算外だったらしく、驚いて尻餅を着く、声を上げるなどしながら自分から一歩下がった。
その瞬間、一人が押さえつけろ、と叫んだ。
心のそこでそう悲鳴を上げているのを直に感じた。「逃げろ」と。
力が湧き出すようだ。だが、逃げろ、逃げろ、と心が言い続けている。
すぐにその場を飛び退いた。
自分の後ろ。運が良かった。扉がある。逃げられる。
本能の赴くまま、その扉を開けた。
その瞬間、「何か」を感じた。自分には今まで感じた事の無いような「何か」
その時体が言う事を聞かないが分かった。力が出ないわけではない。
いや、異常な程力が出る。
そして気付く。何時の間にか、剣を持っていた。二つ。
何時持っていた。そんな疑問を浮かべている。が、その時、逃げる所か。白衣を来た者達を切り裂いた。
一人、二人、三人、四人、五人・・・・・・・・
自分の体は血まみれになっていた。しかしそんな事も気にはしなかった。
警報機が鳴り響く。そして我に返った。
今のがなんだったんだろう。「何か」がやったと言うのか。
そして、背中に――
「やぁ、102」
「・・・ヘルガって名がある」
ヘルガと自らの名を言い放ったカービィ族は、憎しみの篭った目を『ネクロ』と名乗った人物に浴びせている。
変わらずに流れる時の流れとは違い、少しの間時間が止まったかの様に硬直していた。
他の白衣を来た人物は、今は姿が無い。数名、隠れるようにひっそりと見ているだけだ。
「すまないな。名を覚えるのは苦手でね。・・・・何しに来た?」
殺伐とした雰囲気の中余裕な様子で言った。
あざ笑うかのように、見下した視線で、流血する血に苦しそうに立っているヘルガを見下す。
「・・・分かってんだろ?それぐらい」
「私の名か?それは・・・」
「テメェの名なんざ興味ねぇ!!!!」
怒りに身を任せるように、ネクロに飛び掛った。
それは容易く避けられ、ネクロが元々居た場所には剣が食い込んでいる。
ネクロは変わらぬ表情で剣なのか槍なのか、鞘から抜きし降り下ろした。
ヘルガは食い込んだ右手の剣をそのままに、左手に持っていた剣でその攻撃を防ぐ。
バリッ
ネクロの武器が触れた場所に火花が飛び散った。
一瞬光ったと思うと、ヘルガは数メートル吹き飛ぶ。
「・・・・・電気かよ・・・・ッ」
悔しそうに呟く、その時既に傷は悪化し、立つ方が不自然な怪我だ。
必死に立とうとヘルガはもがいていたが、気付くと目の間にネクロが立っていた。
「ジ・エンド・・・・だ」
そして、捕まえろ、と回りで見ていた者達に命令する。
慌ただしく、ヘルガに駆け寄ろうとした。
「来んなテメェ!」
捕まえようと駆け寄った者達を、追い払うように剣を振った。
もう抵抗が出来ないと思っていたらしく、予想外な攻撃に後ずさりした。
「・・・まだ足掻くか。少々痛めつけてから・・・」
そう言っている途中だった。
ヘルガとネクロのいた場所の丁度反対側。
入り口の扉が壁が三等分された瞬間に蹴りが入り、暗い、殺気溢れた雰囲気に堂々何者かが現れる。
「はいどうも〜」
「・・・お前何で扉があるか知ってるか?何で態々扉を切んなきゃ駄目な訳?」
何の躊躇い無く扉を切ったゼロ。その横で、ゼロが壁を切った理由を考えてるスザク。
「ん・・・・?今・・・何が起きて・・・」
レイドが後ろで顔を出す。その視線の先には、翼を持ったカービィ族と、何者かの人物がそのカービィ族を見るからに捕らえようとしている姿。
さっぱり状況が掴めず、戸惑う。
「すいまっせーん・・・くる場所間違えたっぽい」
この嫌な雰囲気を抜け出したいかのように、スザクはそう言うと背を向けた。
「・・・あー、待ちなさいキミ」
ネクロの呼び声。それを耳にしたスザクは、壊れかけている機械の様な動きで、振り向いた。
「・・・何者だ」
「道に迷いました」
正気かテメェ。とでも言いたげなネクロの表情に、隠しきれない冷や汗を拭う。
「・・・お前等こそ何モンだ。こんな工場、明らかに不自然だよなぁ?あァ!?」
不良かお前。そんなルバスの冷たい視線を気にせず、ネクロに対して言った。
ネクロは軽くせせら笑うと、その直後、鋭く眼光が尖る。
「貴様等には・・・消えてもらうとするか」
パチン、と指を鳴らすと、何らかの種族が後ろの道から二人、現れる。
「おい・・・このカービィ族を捕ら・・・」
これは白衣を纏った者達に命令したらしいが、既にその場所から消えている。
ネクロは小さく舌打ちすると、今度は、その「なんらか」の種族の者達に合図を送った。
「殺せ」
ただそう一言言うと、最前列にいたゼロに襲い掛ってきた。
持っているのは棒。剣なら簡単になぎ払うことぐらいは可能・・・・・が。
「うぉっ!?」
あまりの力に剣が弾かれそうになる。何とか堪え、弾き返す。
「おいおい・・・こいつら良くみりゃ獣みてぇじゃねーか・・・・種族もハッキリしねーしな・・・・」
ダグバスの様で・・・何か違う。他にはイントの様な小柄な感じでも・・・無い。
ネクロはその時点で姿を消していた。・・・・・ヘルガを引き連れ。
その時でさえ、敵は無造作に襲い掛かっていた。
今ゼロが立っている場所は、人一人分が通れる程度の大きさだ。
ゼロがそこに立っており、レイドも手出しは出来ない。
・・・それに、今ゼロに遅い掛っている二人は、力、速さと共に以上だ。動くに動けない。
「チッ・・・・・・おいレイド」
レイドは心配こそするが、何も出来ずただ心配していた時の急な呼び掛けに驚く。
「・・・俺は此処で何とかやってる。その間に・・・・・・」
「・・・・・?」
「別の場所に行って壁を切り崩「無茶言うな!!」
何を言おうとしたのか分かったらしく、最後まで聞き取らず遮る様に言った。
そもそも壁を切り崩す方が不自然。本来なら剣が刃こぼれするか、綺麗にボキッ、と割れるかだ。
そんな事出来るのはお前ぐらい・・・そう思っていた時だ。
「じゃ・・・俺がやる」
驚き、と言うよりは呆れるに近かった。
そう言うのおかしいからな。とルバスが呟いたのをスザクは聞こえたが、あえて聞き流したらしい。
「んじゃ俺は先に行ってるぞ」
出来るだけ早めに、そんな様子で駆け出した。
「・・・何が起きてるかサッパリだが・・・情報もサッパリだ。・・・行くしかねぇな」
レイドがスザクを追ったのを理解し、ルバスは一瞬追っていいものか、と躊躇う。
「・・・・・別に援護なんか必要ねぇよ」
「わ・・・分かった」
二人だけ残して平気だろうか。と思うも、ゼロなら大丈夫だろう。と言う事も考える。
奥も危険かもしれない。
そんな事をを考えてると、早く行け、とゼロに怒鳴られ、躊躇いつつもレイドを追った。
「わ・・・私は・・・・」
シルクがそう言い掛けたのを聞くと、全く隙の無い敵二人を、力押しで二人とも吹き飛ばす。
そして、一人分しか通れなかったスペースを前に進み、シルクに来い。と手で合図した。
「・・・結構ガキの頃から病院に来る盗賊を追い払うように鍛えられてんだろ?・・・久々に二人で戦るか・・・・ッ!」
「・・・此処か。多分。」
スザクは走るのを止め、この工場の様な場所の入り口から見て右。と言う辺りの所で立ち止まる。
どいてろ。と言いレイドとルバスを下げらせる。
少し間を空け、勢いを上手く利用し壁に突き刺した。
「・・・・ビンゴ!!」
壁にはあまり抵抗も無く突き刺さり、壁にヒビが入る。蹴りを入れると糸も簡単に割れた。
「この部分は随分脆かった。さて・・・前に進」
あまりにも綺麗に言葉が止まった。
恐怖なのか。驚きなのか。
恐る恐るスザクの視線の先を除く。
先程・・・ゼロが相手にしていた様な者が十人。
獲物を見つけた獣のような眼光をこちらに向けていた。
「あはは・・・・・また道間違えちゃ・・・・」
そんな言葉も通じるはずも無く、殺気と言う名の気が、三人を浴びせた。
ただ、睨みつけてくる。
「これって・・・『狂気』とでも言うのか?」
「おい・・・・あいつら・・・・」
良く見れば傷だらけだ。三人に近寄ろうとはしているらしいが、来る体力が無いらしい。
それとも別の理由か。
身が凍りつくような狂気。一歩でも動いてはならない様な肌寒さも感じる。
「あー!何か騒がしいと思ったらー。だめじゃないのきみたち!」
こんな重っ苦しい雰囲気の中で急に、お調子者やらお気楽と言った感じの軽い声が響いた。
その声の主に、驚きと呆れが混ざった目を向けた。
此処にいた謎の人物達と同じく、白衣を纏った科学者の様な外見。と言うよりあからさまに科学者と言う感じでいる。
恐らく、ネクロとほぼ同年齢の女、だ。
「もー・・・じゃ、殺さなきゃ」
「は?」
あまりにも唐突だった。いけー!などと叫ぶとそれまでピクリとも動かなかった者達が一斉に襲い掛かった。
剣など武器は何ももっていない。・・・・素手だ。
「待てって!武器とか何も持って・・・」
慌てて攻撃を止めろ。と言う様に叫んだ。
その時スザクがレイドの腰に指を指す。
「・・・それ・・・何だ?」
「・・・・ぇ?」
レイド同様、ルバスにも腰に剣があった。
青白光り、透き通っている。
今はブツブツと喋ってられる訳も無く、狂気に満ちた敵は突撃して来た。
「ぅゎ・・・・・!!」
どうすれば良いか、迷っている最中にも敵は襲い掛かる。
一瞬動きの遅れた二人を庇う様にスザクは槍を伸ばした。
「おい!・・・何を躊躇して・・・・」
「こいつら・・・殺しでもしない限り止りそうに無いって・・・・」
殺すのを躊躇っているらしい。今まで命は狙われていたが、逆に「殺す」と言うことは滅多に無かった。
今襲い掛かっている敵も、何故こうなっているのか分からない。自分の意思かどうかも分からない。
・・・・まるで、主に命令された奴隷のようじゃないか。
「殺らなきゃ逆に殺られるんだぞ!?」
「でも・・・・・」
その瞬間、スザクは見本を見せるかの様に相手を二人斬った。
先程までの狂気が消え、まるで灯が消えたように地面に崩れ落ちる。
「・・・そんな甘い考えじゃ駄目だ。お前らの目的は知らないが、それじゃ犬死だ。・・・敵にまで情を出すな」
スザクがこんな一面を見せるとは思いもしなかった。
何故か勝手に付いて来て、「俺の目的」となどと言っていたが、
まさか、こんなにも真剣にこんな事を言うとは予想していなかった。
ザシュ
敵を突き刺す。こんな事は初めて。と言う訳でも無いが、敵の素性を知らぬまま命を絶つ事はした事はなかった。
「・・・・・二人とも。こっちへきなさい」
優しい呼び声。その声に二人の子供が元気良く返事をすると、声の主まで近寄った。
「おとうさん。なぁに?」
まだ汚れを殆ど知らない、純粋な子供だ。
一人の男性を見つめる目は、紅かった。
「命って言うのがどう言う事か分かる?」
「・・・・・?」
まだ幼い子供には分かるはずもなかった。
理解できないと言う事を知っていた様な様子を見せた後、続けた。
「命って言うのは、肉体と魂。二つがあってこそ生まれるんだ」
「たましい?」
「肉体は、鍛えればどんどん丈夫になる。魂も、鍛錬を積めば強い心を持つことが出来る。命を奪うと言うのは、どちらかを奪うと言う事になる」
二人の子供の肩に手を乗せた。
「肉体が無くなると、魂は意味を成さなくなるんだ。逆に魂が無い肉体も意味が無い。二人共、どちらかが無くなると「駄目」になっちゃうんだよ」
「ふぅん・・・・・」
「幾ら丈夫な体を持っていても、心が病んでいたら大変な事になるんだ。強い、しっかりした心は、人を助けたり喜ばせたりする事が出来る。病んだ心は、人を悲しませたり苦しませたりする。命が奪われると、全てが終わる。それっきり。・・・大事にしなきゃ駄目なんだ。
二人共綺麗な心を持つんだよ」
「・・・・うん」
良く分からないが、とりあえず頷く。
それを見て優しく微笑むと、その場を立ち去った。
「なんで・・・・・・どうしてこんな・・・・・」
「カービィ族だからだ・・・・それ以外に何の理由が?」
「・・・・たったそれだけの為に・・・?・・・じゃあお前がカービィ族だったら死んでも仕方ないのか?」
「・・・・」
「お前は・・・間違ってる。命を・・・・なんだと思ってるんだ!!!」
ズバッ
十人目を斬ったのはルバスだった。
胸を一突きされ、血を吐きながら地面に倒れこむ。
その場を去ろうとていた女は、急に静かになった為こちらを振り向く。
そして、笑った。
「あはっ♪・・・・一般人じゃないのねー」
「うらァ!!」
二本の剣を、ダグバスの様な種族に振り下ろした。
その瞬間、イントに似た種族を右手の剣でなぎ払う。
やや吹き飛ばした所で、シルフが追い討ちを掛けた。
だが素早く、攻撃は剣で受けられた。しかし、受けた直後に左手のメスを投げ、それが敵の腕を掠める。
「ったくしぶとい奴らだ・・・・・」
ゼロが愚痴を溢すと、直後にダグバスが力の限りを使い武器を振り下ろす。
棍棒は地面に当たり、大きく食い込ませた。
ゼロがその隙を見て攻撃を行ったが、防がれた。本来なら棍棒など振り回しては、攻撃後に大きく隙が出来る。だが、その隙が出来る時の反動を幾つか上回った力で、隙を減らしたらしい。
イントのシルフに向けられた攻撃。
持っている剣は、どう見ても一般的な剣。だが勿論凶器と化す。
素早く振り回し、もう一人のダグバスとは全く別タイプな様子だ。
胴体に向けられた攻撃は軽く受け流すことが出来たが、逆に当たり難い。
「もう!やんなるわ・・・」
敵は何時まで経っても「殺す。殺す」と心の底で呟いている様だった。
一瞬でも気を抜いたら瞬く間に殺される。そんな状況だ。
「今だッ!」
ゼロが二本の刀を交差させ、そのまま敵に突撃した。
防がれる。が。
敵はゼロに押され、二人とも壁に背中が突き当たった。
武器はゼロの攻撃を防いでいて使えず、体は壁に当たり動けない。
つまり・・・・
「・・・さよなら」
唯一動けるシルフが敵を突き刺した。
「放せ・・・・・放せッ!」
「騒ぐな。102。傷口に響くぞ?」
紅い目。皮膚。明らかにカービィ族であるのは確かだった。だが、翼がある。
そして、ネクロが腕にロープを付け引きずっていた。
もう殆ど抵抗の力は残っていないらしく、成すがままだった。
「ぐぁっ!?」
体をベッドの上に放り投げられ、体を走る激痛に思わず叫ぶ。
部屋は、ヘルガが以前に見た場所だ。水槽がゴポゴポと音を立て、あの時の蛍光灯もそのままあった。
ネクロはヘルガを引っ張った腕を軽くほぐすと、無線の様な物を取り出す。
「『例の族を連れ戻した。早く来い』」
それだけ言うと、無線をしまい、ヘルガへと視線を戻した。
「く・・・・そ・・・ッ・・・・・・・・・・・やめろォ!!!」
ベッドから飛び降り、ネクロへと殴り掛った。だが、容易く避けられた。
ネクロの青い髪がゆらゆらと揺れ、不気味な眼光がヘルガに当てられる。
「・・・・言う事を素直に聞き入れれば良い事を・・・・・・」
ネクロが電気を起こす棒をヘルガに突き出す。
・・・・・そこにヘルガの姿は無かった。棒は壁に当たり、バチバチと黒く焦げている。
そして下には影があった。・・・・・上だ。
すぐにそう察したネクロは、直ぐに棒を上に振った。だが、ヘルガの方が一瞬素早かったらしく、
ギリギリで避けた。
ヘルガは地面に転がり落ちる。
「ハッ・・・・ハッ・・・・・・・・」
「何の為に戻ってきた?あのまま逃げれば助かったかもしれないと言うのに」
ネクロがその質問をした瞬間、ヘルガは血相を変えた表情で言い放った。
「・・・お前らに捕まってる奴らを見捨てられなかっただけだ・・・・・。一体お前らは・・・お前らは何をしてるんだ!?」
ヘルガは疑問と怒りを声にしてネクロに問う。
その時、ネクロは不意に笑い出した。
「・・・・ふッ・・・・ははははは!・・・答える気にはなれない・・・だが、見捨てられなかった?そんな理由で自ら此処に来るとはな・・・・・・」
「黙れ!・・・テメェ自分のやってる事理解出来てねぇのか・・・?どんなに苦しませてるか・・・・分かってやってんのか?」
「・・・分かっているとも・・・・・・私は・・・・・・・・・・・・・・『楽しんでいる』、だ。」
「ふ・・・・・・ッざけんなァァァァ!!!・・・・・・!?」
『立てない。』
「おい・・・・動け!」
多量の出血などで、立つ事すら出来なかった。
あまりにも急な出来事に戸惑う。
何度も立とうと試みるが、全て無駄だった。
焦りが全身を襲う。何も出来ない。無力なのか。
「クククク・・・それだけの傷を負えば・・・当然。立つ事など無理だろう」
その時ドアが開いた。白衣を着た者が十数名だ。
血まみれのヘルガを見下し、ネクロの合図と共にベッドに運ぼうとした。
「放せ・・・・・・・」
俺が此処で・・・・・
「放せッ・・・・・・」
奴らに捕まったら・・・・・・
「・・・・・・・・・・・」
誰があいつらを救えるんだ・・・ッ!
「放せぇぇぇぇぇ!!!!!」
ヘルガがそう叫んだ直後、急にヘルガを掴んでいた人物が吹き飛んだ。
光がヘルガを中心に発せられ、ヘルガの傷が癒えだす。
「・・・・・・・・・・!?」
前にも感じた感覚だった。
これのお蔭で逃げる事が出来たんだ。
だが、今こう感じた。
逃げるのではなく・・・・
戦わなければならないと。
ヘルガは傷が完治され、足もしっかりと動く。
落ちていた何かの部品を拾い上げ、ネクロに飛び掛った。
ドォン!!!
予想外な攻撃はネクロに直撃し、壁に激突する。
壁の一部が少し崩れ、砂埃が舞い上がった。
「ゴ・・・・ホッ・・ゴホッ・・・」
ネクロは苦しそうに胸を押さえ、吐血する。
ヘルガを鋭い目で睨みつけると、ゆっくりと立ち上がる。
「・・・・・・『ペントミノ』・・・か。厄介な物を使った物だ。流石にそれでは私も勝てない」
白衣に付いた汚れを手ではたくと、続けて言った。
「・・・・・ペントミノ」
空気が割れた 気がした。
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