ウィーク・トライブ

不敵

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昔は命の大切さが分からなかった。
ずっとそんな事を考えもしなくて、失った時に初めて気付く。
失った物を求めて、また、一つ失う。
・・・・・・人は、本当に愚かだ。





『第二十五章 不敵』





確かにこの目で見えた。
ネクロの体から発せられた「光」と共に、空気が何故か「割れた」と感じた。
空気が割れる。こんな目に見えない物に対して何を言っているのだろうか。
それでも、そうだった。

「クク・・・・久々だ。この感覚。迷惑だからあまり多様は禁物だったがな・・・・」
ネクロが呟いている時、ヘルガ脳に直接名前を伝えられた、「ペントミノ」とやらをヘルガは使っている。
・・・その存在その物が良く分からないのだが。

「さて・・・と、お前の死ぬ理由がまた増えたらしい」
何の事か分からなかったが、戸惑った訳でも無かった。
ヘルガに対し、目を細めて見る。
部屋自体は、随分と広い。だが水槽やベッドなど、様々な物があるお陰か、
本来広いはずである部屋が狭く感じる。

ネクロから感じる威圧感は、その部屋の物を吹き飛ばしてしまうのではないかと感じた。
ヘルガはその事にも全く怯む事無く、ネクロに突進した。
・・・何時の間にか持っていた武器を手に。

ただの突進で、勢いにより生じる風が周りの物を吹き飛ばす。
ネクロは一歩も動かず、ただこちらを細い目で見ているだけだった。

ガァンッ

突如その音が鳴った。
一瞬の沈黙。ネクロは全く動いていない。
ネクロが小さく笑って見下す中、ヘルガは「何か」に当たり崩れ落ちた。
「お前・・・・・何した・・・」
負傷した部分を語るように、血を頭から流している。
息を切らしながら、鋭い眼光でネクロを睨みつけた。
「なって無い。・・・・・・全然駄目だねー・・・・。期待外れだ。所詮は急に身に着けた力に頼るだけか
・・・教えてあげよう。「これ」の使い方を」


外と中の分かれ目で、金属音が数多に鳴り響いた。
だが、次第に止むだろう。見た者にとってはそうとしか思えないだろう。どう考えても。
「何企んでるか素直に言ってくれねーと面倒なんだよ・・・」
さほど切羽詰った様子は無く、イライラした様に言う。

スザクが尋問しながらに、先程「何らかの種族」を引き連れた女の攻撃を防ぎながら直進する。
レイドやルバスから見れば、少し・・・・予想以上に弱いんじゃねー・・・・?と、言った所だった。
一般的な武器とも言える剣を持ってはいるものの、剣術が上手いわけでも何でも無かった。

スザクが槍を使い壁の方へと追い詰ようとし、それに押されているにもかかわらずまだ、「余裕」と言った感じに見えない事も無かった。・・・一応。

ドン。と、背中が壁に当たる音が聞こえた。
「早く答えてくれって・・・・・・。俺達はこれでも結構忙しいんだよ・・・・」

だが、全く表情を崩しはしていない。
・・・不気味な笑みを浮かべた。
「ゎー、乱暴なのね。でも答える必要はないのー♪」

「何言っ・・・」
スザクが言い掛けた時。
「ぐちゅ」などと言う音が聞こえた。

一瞬静まる。しかし、一秒程の間が空いた時、スザクがまた喋りだす。
「だから何を言「貴方達は此処で死ぬから♪」


腕が二本、何処かから飛び出してきた。

驚きと共に、スザクは素早く飛び退く。
理解出来ない出来事が起きた後、スザクは顔をゆっくりと上げた。
「何だ・・・・?あれ・・・・・・」
レイドは驚きの声を上げる。
・・・腕が、四本あった。
元々ある腕に、もう二本、方から出ている。
あまりにも、おぞましい光景だった。
「自分はグノーシスの社員だよー♪名前・・・と言うよりこーどねーむはカカって言うのー♪」

その言葉に、確信したように言った。
「やっぱりグノーシスか・・・。・・・・喋る必要あったのか?」
「隠し事が苦手なだけ♪」
あまりにも安易な理由だった。
しかしそんな事に構う必要も無い。まず、グノーシスが何か。と聞く必要があるらしい。
隠し事が嫌いだと言うなら好都合。・・・・いや、素直に教えてくれるのだろうか。
「グノーシスって何だ?」
そのまま思った事を口にする。
だが、思ったほど上手くは答えてくれなかった。
「それは教えないよ。ひ・み・つ♪」

スザクはこの無駄話をしている暇は無いと判断したらしい。
何の前触れも無く槍を突き出した。

だが槍は、止まった

「な・・・・・・」
と言うよりは、掴まれた。だった。
先程新たに生えた手は、カカの元にあった手とは別の手。
痩せ細り、不気味な見た目をしている手が、スザクの槍を普通に受け止めている。
手にも引けを取らない様な不気味な笑みをカカは浮かべると、もう一つの手で槍をなぎ払った。
桁外れの力に、スザクは勢い良く吹き飛ぶ。槍をストッパー代わりに地面に突き刺し、何とか止まる。

「・・・おいレイド。ルバス」

「ん、あ、何だ?」
カカの腕について、自分の意思とは反し勝手に考えてしまっていたらしい。
呼び掛けに慌てて反応し、スザクの言葉を待った。
スザクは横目でカカを覗きながら、尖った口調で言う。
「早く行け、任せろ此処は」
ゼロにも同じ事を言われた為、多少抵抗はあった。
スザクは反論する間も無く言う。
「あいつ、カービィ族だったろ?一番気になるのはお前らだろうが。・・・お前らの事、後でもう少し教えてくれたら互いに楽なんだがな。・・・さっさと行け」
此処にいても、ゼロの時の様に無理矢理でも連れて行かれるのは目に見えていた。

次の瞬間、スザクはカカに飛び掛る。
攻撃は普通と言った様に防がれるが、スザクは叫んだ。
「ほら!早く行けっての!」
態々隙を作ってくれたとでも言うのか。
これでは尚更迷惑掛けたくないが故に行ってまうー。そんな長い呪文の様な事を考えながら、
二人は奥へと掛けていった。無造作に敵かも分からない相手を追いかけ。

案の上、スザクは二人が行った瞬間に、あの腕に吹き飛ばされる。
先程と同じように、荒地とも豊かな大地とも言えない地面に槍を突き刺した。

「はぁ、結構キツそうだなこれ」
カカの一行に変わらない表情を嫌々しく見ながら、
変わらずおぞましく蠢く腕を観察。と言った様子。

肌を切る様な風が吹き出し始め、普通なら寒いと感じるだろうが、
やや厚着をしていたスザクは寒くは無いだろう。
稀に来る突風が襲う中、スザクは問い始めた。

「お前のその腕・・・・・何だ?」
スザクがその唐突な質問に答えるかどうか。を試す。
先程までよりも随分と真面目な口調になっていた。
元々おちゃらけた様な表情だったが、それとは打って変わって、迫力もあった。

そして、その言葉にからかう様に、カカは全くの隙間を空けずして言った。
「それは・・・・教えたらつまらないもん♪」
ニヤリ、と言うよりは、素で笑った感じでだった。
年の割にはカカは小柄だが、随分と目下の相手と今居合わせていると言う、
自然に、そんな雰囲気があった。「威厳」とはまた別ものの。

「もう面倒くさくなってきた。早く害虫は駆除しないと駄目だから♪」
スザクは、話を止めにしたらしい。先端の鋭く光る槍を構える。
「さて・・・・・もっと「あの時」に色々な事聞きだしておきゃ良かったな。
元グノーシス社員「スザク・デヴァサ」・・・俺のやっていた事は何かと利用されてたのかもしれねーな」


二人は目を疑った。
ゼロとシルクは、先程まで複雑な室内の構造に苦戦しながら行くあても無く歩いている時だった。
来た。来て、しまった。
「何・・・・これ・・・・・・」
シルクは目を疑う光景に半ば呆然とし、
ゼロは驚いた様に辺りを見回す。
『一つの部屋』
確実に尋常ではない。
ベルラス、ダグバス、オルロ、イントと、順に様々な種族がコードに繋がれた円状の水槽に入れられ、
中には、やせ細った「カービィ」の姿もある。

「人」と言う存在の気配が全く存在せず、ここに居て気分が良い何てのは狂った思想の持ち主でないと考えられはしない。
今にも消えそうな蛍光灯が、辺りを不気味に照らしていた。
しかし、それでも完全に消えては無いと言うことは、事前に誰かが入っていると言う証拠だった。
「・・・ぅおッ!?」

ゼロは思わず引き下がる。
水槽の右から二番目にいたオルロ族が瞼を開き、ゼロを気力の篭っていない目で見たのだ。
だが、その命は今にも尽きそうでだった。
無数のコードに繋がれ、身動きもとれず、喋ることも、精神も、ままならない。
・・・だが、死なない程度に栄養を無理矢理に配分され、死にたくても死ぬ事が出来ず束縛される。
そんな事は安易に想像出来そうな物だった。
いや、そうなのだろう。
ゼロは驚いた後数秒経つと、ふぅ、と溜息をつきながらに言った。
「・・・あの羽の生えたカービィ族。何か・・・助ける為に来たとか何とか言ってたな・・・。
それってこいつらの事なのか?」
「・・・うーん・・・・そうかも知れないけど・・・どうでしょうね」
結論の見えそうに無い言葉を交わすと、今一度水槽の中に入れられた者達に視線を送る。
だが、何か別な事が起きる訳でも無く、ただ、ひたすら沈黙が続くだけだった。


暫くの沈黙が続いた後、シルクはこの重々しい沈黙に耐え切れなくなっていたかの様に話を切り出す。
「あ、あそこ・・・・。道があるみたいだから行く?」
どうも無理矢理考えた言葉。と言った感じだったが、確かにこうしてじっとしている訳にも行かない。
だが、ゼロはシルクが思っていた事と違う事を言い出した。
「・・・やけに暗いな・・・・。あの先は・・・」
ゼロの視線の先には、扉にある取っ手よりやや上にある、ガラスだった。
そのドアにある小さな窓でその先が見えるのだが、全く光が無い。
埃被っているものの、その程度は分かった。
「・・・・・・。」
「このまま進むと明らかに危険だろうな。後、他の奴等と逸れるかもしれない。
ここ、少し道が傾いてる」
「え・・・・?」
シルクはゼロに言われた事に気付き、地面を見る。
確かに、微妙に傾いていた。
そして、意識していなかったが不自然にたった2〜3段の階段がある事を思い出す。
「・・・・つまり、だ。此処は、・・・うぜぇ事に地下まで続いてるって事だ。
俺達の侵入は知られている。もしかしたらだが、罠を張りめぐされてるかもしれねぇし、
敵がもしこの地下から沸いて出て来たら・・・・・やべぇな」
ゼロは小さく舌打ちをし、苦い表情を浮かべていた。
静けさと緊張、焦りは嫌がらせの如く少量ずつ増えていく。
早く抜け出そうとする一心で、この気味悪い部屋を抜け出そうと背を向けた時だった。

「・・・す・・て・・・」

「・・・・・・・!?」
何処からか声が聞こえた。
声の聞こえた方向に咄嗟に振り向く。

「・・た・・・す・・け・・・」

先程、気力の無い目をこちらに向けたオルロだった。
意識はまだしっかりしているらしい。
シルクは驚きと心配などを同時に思いながら、オルロに恐る恐る近づいた。
「だ・・・大丈夫?」
これしか掛ける言葉など無かった。
無論、大丈夫なはずなど無い。
やせ細った体は、まるで人として扱われている様には見えなかった。
これで、言葉が喋れるのが疑わしい程だ。
水槽に入れられている時点で、人として扱われていないのは目に見えているが。

その時、オルロが入れられていた水槽が割れた。
いや、ゼロがいきなり割った。
薬を大量に詰め込んだような悪臭が一瞬その場を包む。
オルロに刺されていたコードなどは、オルロが倒れると共に抜け落ち、
このオルロは力が全く入る事も無い様だが、地面に倒れただけで死んでしまいそうな体をゼロが支えた。
ゆっくりと、地面に寝かせる。
「ったく・・・これじゃ迂闊に動かす事も出来ねぇな」
「・・・とりあえず、応急承知ぐらいはしておかないと・・・・。」

何の為だったのか、シルクはこの工場らしく建物の中に入る時でさえ、医療の道具を持っていた。
この様な状況を予測・・・・いや、流石にそれは無いはず。
こんないかにも怪しげな場所に行き、戦闘で怪我をする事を推測したのだろうか。
音も風も光も無い空間は、刻々と時間を確かに刻んで行った。
周りの水槽に入っている種族の事や、このオルロにしたい質問など、他に気を配る事が多すぎて頭がこんがらがってしまうのではないか。
オルロは今にも途絶えそうな虫の息で呼吸をすると、小さな声で言った。
「・・・たす・・けて」
その小さな声をしっかりと耳で捕らえると、すぐに受け答えをする。
しかし、それはオルロの言っている事とは別の事だった。
「・・・ええ、今すぐ助けてあげ『違う・・・・』
シルクの言葉を遮ったオルロの声は先程より強い力で言い放たれた。
まるで水分を吸い取られた様な手を震えさせながら上げると、ゼロが行こうとしなかった真っ暗な場所を指差す。
「あそこ・・・に・・・・」

そう一言と言うと、手をゆっくりと下ろした。


砂煙が舞い上がる部屋、その砂煙が消えたと共に見えたのは、二人の人物と、
砕け散ったベットや道具、ひび割れしている床などだった。
そこに立っていた人物の二人が、睨み合いながら会話を交わしていた。
「ペントミノって言うのは・・・自分を揺るがすような、感情や心境が大きく揺れた時に起きる。
そして多大な魔力。それさえあれば、結構楽に出来る物だ」
「・・・それが何だ」
「最近では・・・・どうも、な。何故か自然と魔力が多い。原因は今探っている。
魔力が多いから、ペントミノの発動させる人間をどうも増えているんだ」
「ペントミノの存在自体俺は全然知らなかったが?」
「それは・・・当たり前だろう。「我が社」がそうさせない様にしていたんだからな・・・・ッ!」
手袋の上からだから良く見えないが、団扇の様な手で電圧の流れる棒を握り締めると、ヘルガに向かい突進した。
しかし、その動きは残像が残るほどの早さだった。

ネクロの通った場所から突風が吹き荒れ、衝撃波の様に物を吹き飛ばす。
ペントミノを発動させていたヘルガは、何とか対応し避ける。
そして避ける時に剣を振ったが、何かに当たり斬る事は出来なかった。

多少動揺し、だがネクロは服に付いた汚れをヘルガを見ずにはたく。
「・・・余裕ってか・・・・・・・ッ!!」
右手に持っていた剣を下から切り上げる。それと同時に左手の剣を正反対の場所から切り下ろした。
だが、ネクロには届かず、またもや音と共に弾かれた。
ネクロはただ、こちらを見下すように笑っている。
「ククッ・・・・無様だな」
「うるせえッ・・・・お前・・・一体何をした」

「具現化。」

ネクロはそう一個と言うと、少し真上に飛び跳ねた。
そして本来なら地面に付くはずであったが、そうではない。地面から十センチ程離れた場所で、
小さな音と共に着地した。浮いた訳ではない。「着地」だった。
「・・・・・!」

ネクロはせせら笑うと、先程まで付けていた手袋を外す。
その手は、まるでベルラスの手に魚のエラが付いた様だった。
そして、やや水色の体。――――オルロ族だ。

「・・・具現化。つまり、漂う魔力を形にする。それだけだ。ペントミノを解放し、そして理解した人物にだけ与えられる能力。・・・感情や心境の操作。そして、力の循環に魔力。最も大切なのは・・・・・・『条件』だ」

あたかも空中に浮いている様な状況のまま、余裕な表情を浮かべ言い続ける。

・・・部屋は暗い。先程の戦いで蛍光灯は壊れかけ、それも数える程しかない。
そして、倒れているグノーシスの社員・・・なのか。数名、横たわっていた。

ネクロの声を聞きながら、ヘルガは横目で社員を見る。
確実に息の根を止める気はなかったが、もしかしたら隙をついてくるのかもしれない。・・・いや・・・


ネクロは、俺を殺そうと思えば簡単に殺せるだろう。
ヘルガは自分の中でそう悟った。

しかし、殺される訳にもいかない。
此処に捕らえられている俺と同じ実験体は、毎日のように水槽に入れられ、コードに繋がれ、意識が狂う程にもがき苦しんでいた。
自分は楽だった訳では無い。同様か、それ以下の扱いだった。
だが、あの姿を思い出すだけでも、絶対に助けたいと思った。

・・・その為なら、殺す事も躊躇わない。

・・・・・やってやる。

「うらァッ!!」
ヘルガは右手の蒼い剣を突き出す。
だが、容易くネクロは持っていた棒で軽く弾いた。
それと同時に左手の紅い剣を下から切り上げる。
・・・しかし、「具現化」なのか。体に触れもせずに、剣は音と共に止まった。
「幾ら攻撃しようとも・・・」
ネクロはそう言い掛けた時だった。
・・・・・ヘルガの姿が無い。
ネクロは小さな驚きと共に辺りを見回す。だが、何処にもいない。
「何処へ消え・・・・」
そう言った次の瞬間、だ。
ネクロの頭上から剣を切り下ろされた。
すぐさま棒を頭上に振り上げ剣と棒がぶつかり合う音を確認した後、ネクロは一歩引き下がり
ネクロの真上にいたヘルガは、翼を使いネクロから三メートル程飛びのいた。
着地と同時に、翼を丁寧にしまう。

「くそッ・・・・外したか・・・・・」
ヘルガは苦い表情を浮かべると共に、
先程からずっと余裕名表情をしていたネクロも少し表情が変わる。
「ほう・・・思った以上にやる様だ」
ヘルガ会話する事を止め、すぐさまネクロに向かい駆け出す。
ネクロが棒を突き出すと共に、ヘルガは避けながらに飛んだ。
「・・・小賢しい」
棒を回転させる様に振り回す。ヘルガはまた先程の様に剣を振り下ろすの止め、距離を置いた。
右、左と、壁を蹴りながらに狙いが定まらない様に宙を駆ける。
そして動きながら剣を横に振ったが、具現化によって防がれた。
「チィ・・・・・」
舌打ちをすると、今度は出来る限りの距離を離す。

数秒その場に浮き続け、狙いを定める鷹の様にネクロを眼中に収めた。
「うらぁッ!」
壁を蹴り、ネクロへと飛び掛る。
「無駄だ・・・・・」
ヘルガが剣で斬り付けようとした部分だけを具現化させ、全く動かずに防御する。
金属音がなり、ヘルガは元々いた場所の位置から逆の位置に移動する。
見下した目で笑いながらヘルガを見た。
「そんな事幾らやっていても体力を消耗するだけだろう・・・・?・・・違うか」
「うるせえッ!」
実際、ヘルガは苦しそうに息を切らしていた。だが、その眼光は全く緩む事無く、鋭い。
カービィ族の紅い目が光った。

「何だろうがな・・・お前のやっている事が悪い事だってのは、とうに分かってんだよッ!!」

ヘルガはネクロに勢いを付けて飛び掛る。
ネクロはそれを横目で見ながら、何でも無いかのように体を動かさなかった。
「全く・・・どうして分からないかな。無駄だと言う事が」
ヘルガはその言葉を気にする事無く、刃をネクロに突き出す。
その時、ヘルガには一瞬だけ「何か」が見えた。
ネクロを盾の様に守っている。・・・これが・・・・・
直感で感じた。刃をネクロではなく、具現化された魔力へと突き出された。

パリンッ

何かが割れる音。ネクロの身を守っていた物が割れ、剣はネクロに触れた。

・・・皮膚が裂かれる、あまり気持ちよくは感じられない音。
血が飛び散り、辺り一面が赤く染まる。

だが、ネクロは倒れた訳では無かった。
左肩に出来た大きな傷口から血を吹き出し、苦しそうな表情を浮かべている。
ヘルガは息を切らしながら、ネクロに視線を送った。

「もういい・・・そろそろ止めにしよう・・・・・・・・・・。」
ネクロは背をヘルガに向け、実もせずに言う。
良く意味がヘルガには分からなかった。戦う事を止めたのだろうか。

ヘルガは少し沈黙が流れた後言葉を切り出した。
「ああ・・・・すぐに決着を「そういう訳じゃない」
言葉を遮る。ゆっくりと振り向いたネクロの目は、狂人の様だった。


「もう疲れた。全員研究体にするつもりだったがやめた。お前も・・・お前の仲間も・・・・全員・・・皆殺しだ・・・・!!」
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