クリエイターズ!リターン!
進化と出現
――此処は快適な客船の中……そして静かに食事を楽しむ一時…………
……俺は現在旅行中だ……胸を踊らせながら新たな大陸を目指す為船に乗客した。
――異大陸に着くまでにのんびり船をうろつく……というのも良いのだが何事にも前もって準備することが必要だ。
まず何をしようか?行動を起こす前にまず考える。
――そうだ、とりあえず腹ごしらえをしよう。その後の事は食事の最中に思いつくかもしれない。
そして食堂に来た。静かに音楽が流れる中、時折食器のカチャン……という音、そしてこの食堂の客の他愛の無い雑談が軽く聞こえてくる……
此処なら落ち着いて物思いに耽る事が出来るだろう。軽く期待感に震えながら席に着席する。
……そして現在に至る。途中までは食事を楽しめた。いや、普通ならば店を出る瞬間まで静かな時を過ごせただろう。
しかしそれも叶わない……いや、それというのも…………
「ヤバイ!此処の料理美味いなぁ!」
「ちょっと!それ僕のだから!」
「店員さん、これ追加ね〜!」
あの三人のせいで……
「ぇえ!何この料理!見たこと無いけど美味しそう!」
「最高だねこの食堂!リュウも来れば良かったのに〜!」
「うっ!の……喉に……」
あぁ!あのカービィ達は一体何なんだ!五月蠅いにも程がある!
「大丈夫かよ!グライン!」
「ロキ……グラインの事一回たりとも見もしないで食べる事に没頭してる奴の言う事だとはとても思えないんだけど……」
「だって美味いじゃん!食わなきゃ損だって!」
「うぅ……水……水を…………」
彼等の声の五月蠅さに嫌気がさして店員を呼び、つまみ出させたのは紛れも無くこの俺である…… 後旅行者談(ぁ
そして女組はそれぞれ静かに時を過ごしていた。
週刊誌を楽しそうに読みながら時間を潰しているララ……
音楽を聴きながら読書に集中するエイダ……
自分の所持していたペンダントを眺め考え込んでいるディア……
食堂の三人とは大違いw(ぁ
そしてリュウはというと……
「ふぅ……広い船だなぁ……どれ位見てきただろう?…………」
ある程度船の中を見終わって休憩でもしているのか、甲板でのんびり海を眺めているリュウ。
――絶えず揺れ動いて、姿を変えていく波を見てて面白いと思うのは俺だけだろうか?
……それにしても病院で夢に見た俺の闇の姿は…………
悪魔だ
ゆっくりと振り返った時の闇のリュウは確かに『悪魔』を想像させる物だった。
それを見た瞬間に尋常じゃない圧迫感と恐怖感が来たのも覚えている。
あまり深く考えない方が良いのかな……
海に見入り考え込んでいるリュウの近くで、ある三人組がリュウを見ながら話している。
「あのカービィだよね?」
瑠璃色の瞳を輝かせながら額に不思議な形の紋章がある灰色のカービィが他の二人に聞いた。
「……そうだな……間違いない筈だ。奴の腕を見てみろ」
「リングを付けていますね……彼に間違い無さそうです」
頬に紋章がある青いカービィが低く静かな声で答えると、それに付け加えるかの様に手に紋章がある紫のカービィが更に答えた。
三人とも、体の部分に一箇所同じ紋章が存在する。
「それにしても我等が主はまだ力を眠らせているのかねぇ……」
「仕方が無いでしょう。長い間封印されていたのですから……だからこそ私に力を与え、排除を頼まれたのです…………」
「俺達……だろう?個人的なことじゃないんだからね!全く……」
「無駄話は後だ、主を探す前に反抗勢力は徹底的に排除しなければならない……」
「了解」
「こちらも了解」
話し込んでいる内に灰色のカービィがリュウの近くに歩み寄った。
「いや〜、快適だよねぇ!この船!」
初対面にも関わらず自然に笑顔で話して来る。
「ん?……あんたは……」
「あぁ、名乗るのが遅れたね!俺は『クロード』一人旅だから話し相手がいなくてね、少し話に付き合ってくれない?」
――妙な刺青が額にあるな……
「……別に良いけど」
半ば強引にクロードに引き込まれてしまった。――暇つぶしにはなるか……
するとクロードが勝手に話し始めた。
「何かさぁ、最近町の住民が消える事件があったみたいじゃん?」
「へぇ、そんな事があったのか」
――適当に答えておこう……リュウは知らない素振りを見せた。
「それでさぁ……実はその事件は妙な集団が起こした事件なんだってよ!」
「――そうなんだ……でも良く知ってるなぁ、お前」
一瞬心の中で驚いたが表情は何とか隠せた。
「そこら辺にいた住民に聞いたからな!だから結構知ってるんだよ」
……消した住民をお前が蘇らせた事もな…………
クロードは目を細め、軽く笑みを浮かべた。
「それでその消した集団の事なんだけど……」
「ん?何か知ってるのか?」
……無の情報が手に入るのは有り難い。リュウは少し興味を抱いた。
「なんとさぁ!その集団、一部だけ進化した部類がいるらしいんだよ!」
「何だって?」
「おや?気になるかい?」
「ぁ……」
思わず感情を表に出してしまった。声も自然と大きくなる。
……興味を持ったか……面白い。
「教えてやるよ。……そいつ等の呼称は『羅刹無』だ」
「らせつむ?」
「珍しい部類なのでまだ三体しかいないのですよ」
続いて話を続けるかの様に背後からクロードと同じ刺青らしき物が手に存在する紫のカービィが語り手を継いだ。
「その三体には何れも一つだけ共通点がある……それは」
更に続いて同じく同じ形状の刺青らしき物が頬に存在する青いカービィが歩み寄ってくる。そしてクロードが一言。
「三体共それぞれの箇所に同じ形の紋章を付けてるんだぜ♪」
「な……」
「大体予想がついたでしょう……そう……貴方の想像の通り羅刹無は私達の事……ですがそれぞれ個人に名前があります。……私は『スティル』です」
「俺は『ダルグ』だ。個人的な恨みは無いが主の為なのだ。死んでもらおう」
三人とも軽く身構える。リュウも戦闘態勢に入ったのかリングが輝きだした。
「『死んでもらう』と言われて、はいそうですかと死ぬ馬鹿が何処にいる?」
「無駄だと思うぞ?俺達だって手加減はしないし」
「良いじゃないですか。どちらにしろ死んでもらうのですから」
死という言葉を躊躇なく言う彼等を見てリュウは彼等には感情が無いように思えた。
三人とも自分が持っている剣を手に持ち始めた。何れも変わった形状をしている。
クロードの剣は三つの輝く石が装着されている彼の体にはつり合わないほどの巨大な大剣。
ダルグの剣は、剣とは何とも言い難いほどの細身の剣。どちらかと言うと杖に近い形状だ。
スティルの剣は所々溝のような物があった。それが何なのかは見るだけでは分からない。
「俺達は進化して消す能力を無くしたが」
「何れも個人の所持している魔剣を限界まで極めた存在だ」
「故に闘いの鬼『羅刹』の名を授かりました」
淡々と話し続ける三人、これから戦うというのに一切緊張感を見せない。
「俺達三人の鬼にお前は勝てるかな♪」
クロードは遊びを楽しんでいる子供の様な無邪気な笑顔を見せた。
「このまま気楽な船旅って訳にはいかないか…………」
リュウが一言言い、微笑した後にリングの輝きが増し始めた。
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